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晩年中位クラブの分析

J1 第四節 対湘南@味スタ

今回は先日行われたJ1第4節湘南ベルマーレ戦の分析です。両チームのスターティングは以下の通りです。

結果は1-0で東京の勝利となりました。では早速この試合のポイントを取り上げていきたいと思います。
まずは前節と比べて変わった点から触れていきます。変わった点としては、
・システムをフラットに変更
両サイドハーフが中に絞らず幅を保っていた。(攻撃時)
・チーム全体でコンパクトな陣形を作った。(守備時)
・両サイドバックの選手
・FWのコンビの変更
・拳人の起用
・プレッシングからの速攻
おそらく大きな変更点はこの7つほどでしょう。この中の1、3、5、6番目の点に関しては以前投稿したジュビロ磐田戦の分析で改善点として取り上げたため今回は触れないことにします。そして今回は2番目の,攻撃時に両サイドハーフが中に絞らず幅を保っていた点を中心に見ていきたいと思います。

これは前半8分のプレーです。

この上図は前半8分のシーンでボールの移動を傍線、選手の移動を点線、選手のドリブルを波線で表しそれぞれを動作の順で番号を振ったものです。

そしてこの図は先ほどの図をよりわかりやすく表したものです。まず大森からディエゴにボールが入り、そのままディエゴがドリブルでサイドに寄ります。そして高萩にボールを預けます。この一連の動作が行われている時大森はディエゴがサイドに寄ったことで生まれたスペース1に走りこみます。先ほどのプレーでディエゴが相手をサイドまで寄せたために大森はフリーで高萩からボールをもらえることとなります。その後はワンツーのような形で高萩がスペース2に走りこむことになります。これはサイドハーフ(今回は高萩)がぎりぎりまスペースが生まれ、ワイドに開くことによって可能となるデザインされた攻撃であり、今までに見ることができなかった東京の攻撃のカタチの一つであるといえます。
また、サイドハーフがワイドなポジションをとるということに関してもう一つ気になったシーンがありました。それは自陣でCBがボールを保持しているとき、今まではサイドハーフの大森が中に絞ってアプローチをしていましたが今節ではSBのマコが適当な距離まで中に絞りアプローチをしに動いていました。それにより大森が従来と比べると高く、よりワイドなポジションを取ることが可能となっていました。これが可能となることで速攻において数的優位の状況を作ることができます。
この試合から見えた改善点に入る前に、もう一つ東京の新しい動きがあったのでそれに触れたいと思います。これはおそらく湘南の3バックを上手く活用するためにとった戦術なのですが。。。

自陣でマコがボール奪取し、攻撃へと展開する場面の図です。普通ならばパスコースが比較的確保されていてフリーな状況にある大森へパスを出しますが、この場面ではロングボールを使いディエゴにダイアゴナルの動きをさせました。ディエゴには湘南のディフェンダーが一人ついていたため、あっけなくボールを回収されてしまいました。これを組み立の1プレーとして考えると決して良いものとは言えません。しかしこの次の、相手がボールを奪ったシーンを見てみるとこのプレーの意図が読み取れると思います。

ボールを奪取した選手にはダイアゴナルの動きを見せたディエゴがそのままプレスをかけ、湘南の3バックに対して2FW+1SHでマークに付きます。そうすることで湘南は3バックでボールをつなぐことが不可能となります。また、湘南の2CHが下りてきてボールをもらいに来たとしても東京の2CH(高萩・拳人)がくっついてプレスに行くため簡単には前を向けない状況になります。実際にこの形で東京は何回もチャンスを作っていました。
続いては、この試合から見えた改善点について触れていきたいと思います。まずは、後半から途中投入された永井について取り上げていきたいと思います。後半80分のプレーです。

写真を載せましたが、出し手の東と受け手の永井の意図が全く噛み合っていないのが一目でわかります。永井はDFラインの裏、東は足元といった感じでしょうか。写真には入りきらなかったのですが湘南のGKとDFの間はそこまでスペースがなく、いくら永井と言ってもこれほどのスペースではスピードを活かせるとは到底思えません。そのためこの永井の判断が正しかったとはなかなか言えません。
続いてはこの後の83分のプレーについてです。

キックモーションに入っているのが前田で、画面左のアンドレバイアの後ろにつけているのが永井です。仮にこの場面で前田が縦の空いているスペースにボールを送るとすると、必然的に永井とアンドレバイアの1対1の状況が作られることになります。そうなってしまえばスピードで永井がバイアを上回ることになり、決定機を迎えることが可能になります。しかし実際にこの場面では永井は裏のスペースに走りこむことはなく、前田が無理をして永井の足元にパスを出しています。そして最終的には永井が湘南の選手に囲まれてボールロストしてしまいます。永井にはとても分かりやすい特徴があるので選手本人も特徴を理解していると思いますが、それでなぜこのようなプレーをしてしまうのでしょうか。。。状況判断があまりにも悪いと思いました。
そしてチームとしての改善点があと二つほどあったので軽く触れておきたいと思おいます。一つ目は守備時に、東京の選手が引っ張られるなどとしてポジションが入れ替わってしまった時の対応についてです。高萩やケントがサイドに引っ張られたときにマコがセンターハーフのカバーができておらず、そのまま空いた中央のスペースを使われてしまうなどということが多々ありました。二つ目は次節以降の戦いについてです。今節の湘南はボールホルダーに対して一人ひとりがプレスにに来ていましたが、前節のジュビロのように一人ひとりが均等な間隔を保ちそれぞれ分担されたエリアを守るというような相手に対してどのようにして戦っていくかがこれからの課題になると思いました。実際に前節のジュビロ戦ではリスクを回避した中途半端なパスが目立ち、引いた相手に対してなかなか点を入れることができませんでした。。。ですから次節のガンバ戦で東京がどのような戦いをするかに注目していきたいと思います。


今回の分析はこれで終わりとさせてもらいます。最後までありがとうございました!